アトピー性皮膚炎の方は程度にもよりますが、ほどんどの方は色素沈着でお悩みなのではないでしょうか?色素沈着になりにくく、また色素沈着を少しでも薄くしたいですよね。
そんな色素沈着のお悩みを解消できるかもしれないキーワードは「ターンオーバー」です。「ターンオーバー」って言葉、一度は聞いたことあるのではないでしょうか。
アトピーの方はターンオーバーのサイクルが乱れてしまっている可能性があります。ターンオーバーのサイクルを正すことで、色素沈着になりにくく、今ある色素沈着も薄くなることと思います。
この記事では、アトピーが原因の色素沈着はどうして起こるのか、また、改善や予防をするためには何をすればよいのかなどをご紹介します。
色素沈着ってどういう状態?どんな色?
色素沈着とは一体どういう状態でどんな色をしているのでしょうか。
色素沈着はメラノサイトと呼ばれる色素を生産する細胞からメラニン色素が過剰に分泌され、表皮や真皮といった皮膚内に蓄積されることで、周りの皮膚よりも色が濃くなって見える状態です。
虫刺されのように肌が腫れるということはなく、ただ色だけが濃くなります。沈着しているメラニン色素の量が多かったり、一か所にたくさんメラニンが集中すると色味がより濃くなります。
また、メラニン色素が沈着している深さによっても色味が変わってきます。
・濃いめの色味(茶色や黒色)
肌表面に近い表皮にメラニンが沈着していると茶色や黒色といった濃いめの色味になります。皮膚の浅めのところに色素沈着している場合は、肌のターンオーバーによって、メラニンが排出されることもあり、肌の色味もだんだんと薄くなったり、元通りの肌の色になることが期待できます。
・薄めの色味(青みがかったような色や灰色)
表皮にあるメラニンが、色素沈着の慢性化によって真皮に落ちてきてしまうことがあります。皮膚の奥の真皮に沈着しているメラニンは、肌のターンオーバーでも排出されることがないので、改善することは難しいかもしれません。どうしてもキレイにという方は皮膚科医への受診をおすすめします。
なぜアトピーによって色素沈着が起こるのでしょうか?
アトピー性皮膚炎の方が色素沈着を起こしてしまうメカニズムを説明していきます。
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1アトピーで炎症がおきて、肌をかいてしまう
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2肌がダメージを受ける
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3肌を守ろうとメラニンが過剰に生産される
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4肌のターンオーバーでメラニンを排出しきれず沈着してしまう
再びstep1 から step4 まで... これの繰り返しでどんどんメラニンが沈着してしまう負のスパイラルです。
また、アトピーで常に炎症が起きている状態なので、肌のターンオーバーが乱れてしまい、なかなかメラニンを排出することができません。
炎症が起きた個所のメラニン量が多く、ターンオーバーで排出しきれなくなったり、アトピーによってターンオーバーが正常に行えずに、メラニンが排出できなかったりすると色素沈着がおこってしまうのです。
アトピーの方はこのような過程を繰り返すことや炎症がなかなか治まらないと色素沈着が慢性化しやすくなってしまいます。
色素沈着が慢性化しやすくなる原因はアトピーの他にもあり、ムダ毛処理や肌に刺激をあたえるような洗い方(ゴシゴシ洗い)、肌に合わない化粧品の使用など摩擦や刺激が長期化することが原因です。
色素沈着を慢性化させないようにムダ毛処理の頻度を落としたり、体を洗うとき2日に1回は手で洗ったり、スキンケアに気を付けるなど、摩擦や刺激が長期化してしまわないように心がけましょう。
また、アトピー症状が出やすい顔や首、肘の内側、手の甲、膝の裏、背中などでは色素沈着が起こりやすくなります。特に顔や首は常に出ている部位で人目が気になりますよね。
少しでも色素沈着が良くなるよう、またこれ以上悪化させないためにしっかり対策をしていきましょう。
アトピー性皮膚炎による色素沈着の改善方法
では、アトピー性皮膚炎が原因でなる色素沈着を改善するためにはどんなことが有効なのでしょうか?
日常生活で取り入れることのできる改善方法をご紹介します。
肌のターンオーバーのサイクルを正常にしよう
一般的にターンオーバーはおおよそ4週間から6週間のサイクルで行われます。しかし、アトピー性皮膚炎の方は、肌をかき壊してしまうことが多いので、早く皮膚を治そうと細胞が頑張ることで、皮膚が生まれ変わるサイクルが短くなってしまうのです。
また、紫外線にあたることでも同様にターンオーバーの周期が短くなってしまいます。
ターンオーバーの周期が短くなると正常な細胞ができずに、本来なら排出できるはずのメラニンが表皮に残ってしまうのです。なので、ターンオーバーのサイクルを正常にすることがとても大切です。
では、どうやってターンオーバーのサイクルを正常にすればよいのでしょうか?
1. アトピーによる炎症を抑える
アトピーによる炎症を抑えることで、ターンオーバーのサイクルは徐々に正常に戻っていきます。
ターンオーバーのサイクルが正常になることで、時間はかかるかもしれませんが、色素が排出され徐々に薄くなっていき、色素沈着が改善していきます。この過程でまた炎症を起こしてしまうと、振り出しに戻ってしまいますので、炎症を繰り返さないように気を付けましょう。
アトピーによる炎症を改善させる方法としては、「食事を気を付ける」「保湿を怠らない」「薬に頼る」などの方法があります。
また、炎症を繰り返さないように、炎症が良くなった時こそ注意が必要です。食生活に気を付け、保湿を怠らないことが大切です。
2. 生活習慣の乱れを正す
肌のターンオーバーが乱れる要因として生活習慣に関連することが多くあります。
「食生活の乱れ」や「寝不足」「暴飲暴食」」「たばこ」「運動不足」などなどの生活習慣による要因が考えられます。これらを改め、生活習慣を見直すことで肌のターンオーバーを正常に戻すことができます。
・ターンオーバーが活発に行われるように質の良い睡眠をとりましょう
肌のターンオーバーは成長ホルモンの分泌によって促されます。
成長ホルモンは寝ているときに多く分泌されるので、睡眠が足りないと成長ホルモンが少なく、ターンオーバーのサイクルが乱れてしまいます。
成長ホルモンは眠りに落ちた直後から3時間前後が分泌量のピークといわれていますので、少なくとも質の良い睡眠を3時間以上とらなくてはいけません。
質の良い睡眠をとるためには、就寝直前の食事や飲酒、喫煙などは控えるようにしましょう。
また、寝る際には余計な油分を落とし、肌をしっかりと保湿して乾燥を防ぐことでターンオーバーの手助けをします。化粧を落とさず、お風呂も入らずで就寝することだけは絶対に避けましょう。
・ターンオーバーに必要な栄養を摂りましょう
いくら質の良い睡眠をとっても、ターンオーバーをするために必要な栄養素が不足していると、ターンオーバーに影響が出てしまいます。
そこで栄養バランスのとれた食事を心がけるようにして、ターンオーバーをするために必要な栄養素を摂取しましょう。
それではどんな栄養素を摂ればよいのでしょうか?
ビタミンC
ビタミンCはメラニンの沈着を抑える働きや、できてしまったメラニン色素を淡色化する効果も期待できます。
また、肌の健康を維持するのに欠かせない、コラーゲンの生成になくてはならない栄養素です。
ビタミンCは熱に弱いので、なるべく熱を加えずに食べましょう。
ココに注意
【イモ類・パプリカ・いちご・豚肉・小松菜・ゴーヤ・柑橘類・キウイ・ブロッコリー など】
ビタミンE
抗酸化作用により紫外線によるダメージを抑えられ、血行促進効果もあるのでターンオーバーに必要な栄養を行き渡らせてくれたり、ターンオーバーも促してくれる効果があります。
【アーモンド・豆類・ツナ缶・たらこ・アボカド・うなぎ・いくら・大根 など】
ビタミンB2
皮膚や粘膜の代謝を促す効果があります。
また、皮脂のバランスを調整する役割もありますので、健康な肌を保つために必要な栄養素です。
【レバー・カマンベールチーズ・うなぎ・アーモンド・たまご・のり・納豆・きのこ など】
ビタミンB6
アミノ酸を体内に供給する役割を担っています。
アミノ酸が供給され、ターンオーバーが活発になることで肌のターンオーバーのリズムを改善します。
【レバー・豚肉・いわし・まぐろ・セロリ・たまご・大豆 など】
亜鉛
亜鉛は、ターンオーバーには欠かせない栄養素です。
その他にも、コラーゲンの合成に必要不可欠であったりと、美肌にはなくてはならに栄養素です。
亜鉛は吸収率があまりよくないので、促進効果のあるビタミンCなどを多く含む食材と一緒に摂るように心がけましょう。
【牡蠣、牛肉、鶏肉、豚肉、卵、ごま、のり、ワカメ、昆布、カニ、スルメ、白米、納豆、ブロッコリー、レバーなど】
タンパク質
タンパク質は皮膚を構成する組織の主成分なので、なくてはならない大切な栄養素です。
タンパク質が不足してしまうと、ターンオーバーに影響がでて、肌が修復できなかったり、色素沈着がいつまで経っても良くなりません。 タンパク質が不足しないように、意識して摂取しましょう。
【肉類・魚類・大豆類・たまご・乳製品 など】
これらの栄養をまんべんなく摂り、偏った食事にならないように気を付けて食べましょう。
食を意識することは色素沈着の改善にもなり、予防にもつながりますので、これを機に栄養を意識した食生活にしてみはいかがでしょうか。
紫外線対策をしっかりしよう
紫外線を浴びると、紫外線のダメージから肌を守ろうとメラニンが過剰に生産されて色素沈着の原因になります。
アトピーの方はかき壊しによる色素沈着と紫外線による色素沈着のダブルパンチはなんとしても避けたいところ。
アトピーの炎症が起きているところは最低限 紫外線対策をしたほうがよいでしょう。
では、どうやって紫外線対策をすればよいのでしょうか。
1. 外出の際は日焼け止めを使用しましょう
日焼け止めの使用は、紫外線による色素沈着の対策に効果があります。日焼け止めの中でも「紫外線散乱剤」が使用されている日焼け止めにしましょう。
もう一つ、「紫外線吸収剤」を使用しているものもありますが、肌への刺激が強くアトピー肌の方には、炎症の原因となってしまう可能性があるので、少しでも肌への刺激が少ない「紫外線散乱剤」使用の日焼け止めをおすすめします。
また、パラベンやアルコールなどがフリーと記載のある日焼け止めだとなおGOODです。
2. 肌の露出を最小限に
日焼け止めが合わない人や使いたくない人はなるべく肌の露出をおさえた服装にしましょう。
襟のある服、UVカット効果のあるストッキング、つばの広い帽子、日傘などできるだけ紫外線対策をしましょう。
アトピーの炎症箇所は特に紫外線を浴びることがないような格好をしましょう。
さいごに
アトピーによる色素沈着の対策として、まずは炎症を繰り返さないようにすることが大切です。
また、ターンオーバーを正常にするために、生活習慣の見直したり、ターンオーバーに必要な栄養素をしっかり摂りましょう。
色素沈着を改善させることは、時間のかかることです。なかなか良くならなくても投げ出さず、希望を持って、しっかりと対策していきましょう。